Makaya McCravenの3つの方法
Makaya McCraven
Episode:相手のせいにできない
ライブの即興を録音して、後からビートを切り出して再構築する。Makaya McCravenがやっていることは、ジャズドラマーとビートメイカーの両方を同時にやることに近い。この3曲は、その手法が生まれた瞬間、世界に広がった瞬間、過去に遡った瞬間。同じ人間の同じ方法論が、素材を変えるだけでまったく違う音楽になる。
4都市で録った即興セッションをが後から再構成したアルバム。Atlantic BlackはChicago Sideに収録されている。のテナーサックス、Tomeka Reidのチェロ、Junius Paulのベース。ライブの生々しさが残ったまま、ビートの精度だけが異常に高い。即興なのにグルーヴが揺るがない。McCravenの「後から切り出す」手法がいちばんわかりやすく聴ける曲。
の名前が世界に出た最初のアルバム。シカゴの改装された銀行の金庫室で、12ヶ月間、28回のセッションを録り続けた。48時間分の素材をMcCravenが自宅で切り出して、ビートを組み直した。Universal Beingsが完成度の高い「作品」だとすると、In the Momentはもっと生々しい。素材の継ぎ目が見える。即興の断片がそのままビートになっている瞬間がある。McCravenが何を聴いて、何を残そうとしたかが、編集の粗さの中から見える。方法論の原点。
今度は自分たちの即興ではなく、Blue Noteの過去の音源が素材になっている。の原曲をが解体し、のヴィブラフォンやJeff Parkerのギターを新たに録って重ねた。過去の音源と現在の演奏が一枚の中で同居する。In the Momentで自分たちの即興を切り出していた人間が、今度はBlue Noteの歴史を切り出している。方法は同じ。ただし素材が過去になったことで、McCravenの仕事は「編集」から「対話」に変わっている。60年前のBlakeyのドラムと、2021年のMcCravenのドラムが同じトラックで鳴っている。