Bobby McFerrinの声と、その先
Bobby McFerrin
Episode:全部声
全部声。楽器ゼロ。Bobby McFerrinの「Don't Worry, Be Happy」は史上初のアカペラNo.1ヒットだった。でもMcFerrinはポップスターではない。この人の本領は即興にある。2曲目でChick Coreaとのデュオを聴くと、McFerrinの声が「楽器」どころか「バンド」であることがわかる。3曲目はそのCoreaが自分のバンドで書いた曲。声からピアノへ、ピアノからバンドへ。
の声だけで作られている。ベースライン、パーカッション、コーラス、メロディ、全部ひとりの人間の口から出ている。BPM68のレゲエ的なグルーヴに乗って、声が何層にも重なっていく。グラミー3部門受賞。ただしMcFerrinはこの曲のヒットを複雑に受け止めていたとも言われている。「自分の音楽のごく一部がすべてだと思われる」こと。次のTrackを聴くと、その意味がわかる。
との即興デュオライブ。Coreaの代表曲「Spain」を二人だけでやっている。McFerrinの声がベースラインを歌い、次の瞬間にはCoreaのピアノのフレーズをユニゾンでなぞり、さらに次の瞬間にはまったく別の方向に飛ぶ。Don't Worry, Be Happyが「声で曲を作る」だとしたら、ここでは「声で他人と会話する」。Coreaがフレーズを投げ、McFerrinが声で受けて返す速度が尋常じゃない。二人とも笑いながらやっている。
Track 2でMcFerrinと対等に渡り合っていたが、自分のバンドでやっている音楽。ラテンのリズムの上でピアノが爆発する。McFerrinの声の自由さとはまた違う種類の自由。Return to Foreverというバンド名の通り、曲が何度もテーマに戻ってきながら、毎回違う熱量で駆け抜ける。McFerrinとのデュオでCoreaに興味を持ったなら、ここが入り口になる。