コウのテンポでいい
部室。コウがベースを抱えたまま、何か聴いてる。リクとタイガが入ってくる。
リク 「コウ、また固まってる」
タイガ 「何聴いてんの」
コウがイヤホン外す。スピーカーに切り替える。Donna Leeが流れ出す。
リク 「……これベース?」
コウ 「ベース」
リク 「嘘だろ」
コウ 「フレットレス」
タイガ 「……サックスが弾いてるみたい」
コウ 「そうなんだよ。もともとサックスの曲なの。それをベースでやってる」
コウ 「この人さ、Pat Metheny ↗が最初に出したアルバムにも入ってた。ギターとベースだけで全然違う感じで」
リク 「指どうなってんの。この速さで」
コウ 「わかんない。考えると手が止まる」
コウが自分のベースで、Donna Leeの最初の数音を弾こうとする。ゆっくり。たどたどしい。
リク 「おー」
すぐ止まる。
コウ 「……4小節が限界」
タイガ 「でも音はきれいだった」
コウ 「速さが足りない」
リク 「いいじゃん。コウのテンポで」
コウ 「コウのテンポのDonna Leeってもう別の曲じゃん」
タイガ 「別の曲でもいいんじゃない」
コウがもう一回、最初の数音をゆっくり弾く。さっきよりちょっとだけ滑らか。
リク 「お、ちょっと伸びた」
コウ 「……5小節」
次にリクとタイガとコウが聴いたのは...
JP
Jaco Pastorius
コントラバス — エレクトリックベースの革命。35歳で夭折
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